一足早い春を味わう『さくらパイ』
まだ冬用コートで過ごす季節に、時折訪れるやわらかい空気。春を思わせる陽ざしだ。2月にもなると、そこかしこと春のシンボルである「さくら」を扱った商品が一斉に並び始める。またこの季節がやってきた。一足早く感じられるこういう雰囲気、けっこう好きである。
さくら色と言えば落ち着いた響きであるが、ピンクというとややアクティブなイメージを受けるのは気のせいであろうか。表現方法もさまざまに、じつに色鮮やかな見た目だ。どうしてこうも日本人は桜が好きなのだろうかと思わせるほどに、桜の商品で埋め尽くされる。
数ある商品の中で、まず手に取ったのはこれだ。
青い空に映える桜の枝と花びらがけっこう控えめなのがいい
その名もシンプルに『さくらパイ』だ。これだけで、どんな商品なのか容易に想像ができる。ただ、パイと言ってもサクッとした食感のなのか、はたまたしっとり系なのかが分かれるところだ。税込み321円。
商品タイトルの説明書きであるキャプションには、「白あんに刻んだ桜の葉を練り込み、パイ生地で包んで焼き上げました。」と書いてあるところからすると、おそらく「しっとり系」なのではと推察する。
中身がチョコや油脂を含むものだと、パイ生地に水分が移らないのでサックリ系が多いのだが、中身があんこ系だとあんこの水分がパイ生地に移ってしまうのでしっとり系パイの傾向がある。
お菓子ばっかり食べていると、無駄にこういう知識が身についてくるのも数少ない雑学が増えて、それはそれでいい。
ちなみに裏面はこんな感じだ。
賞味期限が意外に短い
裏面は、青空いっぱいだ。桜の季節というと、西日本や関東だと早いところで3月下旬から、東北や北海道だと5月上旬といったところだろう。
賞味期限が4月8日というところからすると、それほど日持ちする商品でもないのだが、素材の美味しさを可能な限り味わえるよう、余分な添加物を入れていないという側面もあろう。
または、中身の白あんを甘くし過ぎずに、自然な程よい甘さに仕上げているといった場合もある。砂糖を多く入れて強い甘さに仕上げれば仕上げるほど糖度が上がり、日持ちがするのだ。反対に、砂糖を極力抑えて水分量に割合が多くなると日持ちはしづらくなる。
この辺の相反関係も、作り手の考え方によってさまざまに傾く点だ。
さっそく袋を開けてみたい。
ふんわりと軽い手触り
袋を開けた瞬間、ほわっと桜の風味が漂ってきた。匂いも味わいの満足度に大いに影響を与える。
ひとつ取り出してみるとすごく軽い。計ってみると18グラムだ。個包装の袋が0.5グラムだったので、正確にはパイ1個あたり17.5グラムだ。
個包装から取り出してみる。
ちょこんと佇んでいる
手で持った感じからして「しっとり系パイ」だ。となると中身のあんこも甘さ控えめだろうか。ここは、一気にほうばって口に入れたいところだが、一旦はやる気持ちを抑えて半分に切って中を見てみよう。
ぎっしりとあんこが詰まっている
しっとり系パイなので包丁もすんなりと綺麗に入った。切ってみると、さくらのあんこがめいいっぱい入っていて、仕上がりのクオリティの高さがうかがい知れる。実際に頂いてみよう。
思った通り、甘さ控えめなあんこだ。いや、思った以上に甘さ控えめだ。パイ生地はしっとり系で油っこくないのもいい。
桜の風味はそれほど強くはないが、しっかりと桜味のあんこパイだと認識できるレベルだ。
コクと苦みのあるコーヒーよりは、浅煎りで爽やかなコーヒーに合いそうだ。紅茶でもいいかもしれない。
食べ始めも食べ終わりも軽やかな味わいなので、何個でも食べられてしまう。内容量が個包装込みで185グラムということなので、ちょうど10個入りだ。税込みで321円なので、1個あたり32円。この価格でこの品質は申し分ないだろう。春を待たずして食べ切ってしまいそうだ。