【実食比較】スイカ3種食べ比べレポ

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5月に入ると夏を待たずして早々に八百屋やスーパーに並び始めるスイカ。その濃い緑色に黒の縦縞模様の球体は、力強いビジュアルだ。夏の大自然で育まれた大地からの贈り物に喜びを感じる季節だ。スイカの旬といえば、7月や8月の真夏を思い浮かべるかもしれない。たしかに、その時期に食べる機会は多いだろう。しかし、スイカは出始めのものが特別甘くて美味しい。出始めから終わりまでの中でも、味わいが違うのもまた楽しみ甲斐がある。

スイカの歴史は古く、原産地はアフリカの熱帯地域だ。砂漠地帯では貴重な水分源のようで、現代の甘いスイカではなく、ほとんど甘みが無かったようである。エジプトの壁画にも残されているようで、果肉よりも種を食べていたと言われているほどだ。

品種改良もされて美味しいスイカだが、多く含まれているカリウムは疲労回復や利尿作用もあるので、暑くて水分を多く取りがちな夏には夏バテ防止にも効果があるとされている。リコピンも豊富に含まれているのも嬉しい。そんな夏の定番フルーツとも言うべきスイカをいろいろ食べ比べてみたい。

紅小玉すいか(千葉県産)

スイカはほかの果物に比べてとりわけサイズが大きい。1玉を買うと、なかなか食べ終わるまでに日にちがかかってしまうので、近頃は4分の1や8分の1サイズにカットされて売られている事もあるのが嬉しい。一口サイズにカットされて、気軽に食べられる規格さえもある。ちょっと食べたいときには重宝するパック売りだ。そんな大玉スイカを克服してくれるのが、小玉スイカだ。

5月下旬に購入したのは「紅小玉すいか」。1玉が2838gという大人が片手で持てる程度のサイズ感だ。値段は980円。手頃な感じだ。さすがはスイカ、小玉とは言うものの、持つとそれなりにずっしり感がある。

若干、変形ぎみだが良しとしたい。スイカはそのまま冷蔵庫で冷やすよりも、カットして冷やしておいた方が早くに冷えるので、あらかじめ食べやすいサイズにカットしておきたい。

果肉がしっかり詰まっていてみずみずしい。カットするとスイカの中心部分が三角の先端になっているが、カットした時にこの部分のエッジがしっかり出ているのも美味しそうだ。スイカは食べ頃を過ぎて日にちが経つと、どんどんと空洞が出来始める。これは、種が果肉の栄養分を吸い取っていることで起きる。せっかく大事に育ててくれたスイカ農家のご苦労を無駄にすることなく、美味しい食べ頃の状態で頂きたい。

実際に頂いてみよう。まずは、はじっこの一番甘みが少ない箇所から頂いてみた。最も甘い真ん中部分は最後に取っておきたいからだ。いちごのショートケーキのいちごを最後まで取っておきたい心理に似ている。そんな、はじっこスイカをかじった一口目から感じる強い甘さに驚いた。これは甘い。やっぱり出始めのスイカは美味しいというのを、あらためて実感した瞬間だった。はじっこが甘いということは、真ん中も全部が甘いということだ。食感はシャキシャキで爽やかな味わい。溢れんばかりの果汁が初夏の暑い季節に身体が喜んでいる。

画像の皿に盛りつけたスイカで4分の1の量だ。小玉サイズのスイカとはいえ、なかなか食べ応えがある。このくらいのサイズ感、嬉しい。

倉吉すいか(鳥取県産)

ひとりで食べきるには大きすぎるサイズの西瓜がある。むしろ、大きい西瓜がスーパーや八百屋の棚に多く並べられているといった方が正確かもしれない。近頃は、単身世帯や気軽に食べられることを売りにして、どのお店にもカット西瓜が見られるようになってきた。1玉買うには躊躇ってしまうけど、8分の一や10分の一サイズだったら買いやすい、といった需要が多いのだろう。フルーツ好きな人にとっても、様々な品種を食べてみたいという要望にも的確に応えられている商品規格だ。

今日見つけたのは「鳥取県産 倉吉すいか」。サイズにして10分の一カットで500円。重さは1,218グラム。1玉にすると12キロほどになるのだから、その大きさも特大サイズだ。鳥取県と言えば、まずイメージするのが鳥取砂丘であろう。砂丘で西瓜が栽培されている訳ではないのだが、なんとなく砂漠のオアシス的な関連付けを勝手にしてしまう。砂漠に西瓜と言えば、美味しそうに聞こえてくる。膨らむ期待を胸に、実際に食べやすい大きさにカットしてみよう。10分の一サイズといっても、かなり大きめなので、幅1.5cm~2cm程度で切ってみたい。

一切れずつカットするとき、両端を切り落としているのだが、その部分もしっかり味わってみる。西瓜の最も甘い部分は、言わずもがな中心部分であるのだが、その前置きを確認して両端を頂いてみよう。しっかりとしたシャリっという食感があることに加えて、甘さが十分にあるのには、このブランドと品質の高さを感じた。これほどまでに両端の味が中心部分のそれとほとんど変わらない味わいは、なかなか無い気がする。5月頃の出始めの西瓜はその傾向があるが、6月や7月ともなると西瓜の出回りも本格化してきて、いろんな品種の西瓜がある。両端部分がうっすらとした味わいの西瓜を多く見てきた。端っこがこれだけのクオリティということは、中心部分はもっと期待できると言える。中心部分も実際に頂いてみよう。

ここちよいシャリっという食感が、まさしく夏のサウンドだ。甘さは、やはり十分にある。美味しい。そして、その高いクオリティは一切れを食べ終わる頃にも実感させられる。果皮の色が変わる部分に近づくと、当然甘さも少なくなっていくのだが、これは良い意味で違った。いつまでも甘いのだ。果皮の白い部分ぎりぎりまで美味しく食べられた。フルーツ好きにとっては、嬉しい誤算だ。生産量も国内で上位に位置する鳥取県。これからも、美味しい夏を味合わせてくれる倉吉すいかにエールを送りたい。

祭りばやし(千葉県産)

続いては、千葉県産のすいか「祭りばやし」。これもカット西瓜を購入。1/8カットで1,140gだったので、1玉だと9kgほど。大きさ的には中堅サイズだろうか。真っ赤な果肉と、果皮が薄めなのが特徴的だ。価格も1/8カットで450円なのは手頃感を感じる。実際に食べやすいようにカットしてみよう。

カットしている感触からも伝わってきたのだが、シャリっとしてしっかりとした果肉感だ。実際に頂いてみよう。食感は、やはりしっかりとしていて心地よい音がする。個体差もあるかもしれないが、甘さはそれほど強くないが決して物足りない感じでもない。むしろ甘すぎずにさっぱりと頂けたのが嬉しい。歯ごたえも楽しめる暑い夏にぴったりの西瓜だ。

NORTHMAN

趣味:煎餅(米菓)の食べ比べ 得意なこと:ひとり遊び 愛読書:JAF MATE 好きな食べ物:季節全般のフルーツ

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