もはや桜風味の『新』和菓子 ~カルディ「さくらきなこねじり」~

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2月に入ると冬が終わりを告げ、少しずつ春の香りが漂ってくる。日差しが日一段と温かくなってきたり、澄み切った空気が爽やかな心地よい春の風に変わってきたり、店頭の商品もさくらを模した品揃えが多くなってくる。春の香りというのは、そういう柔らかな空気感だ。季節感を感じるものの一つに「食」がある。日本はそんな食で季節を感じられる恵まれた国とも言えよう。さまざまな輸入食品を扱うお店「カルディ」。誰もが知っているコーヒーと国内外の珍しい食品を扱うお店だ。そんな人気店で、ひときわ目を引く品があった。

さくらきなこねじり

和の食材で作られたお菓子はシンプルなのがいい。きなこねじりもその一つである。きな粉や水飴や砂糖、塩といったごくシンプルな食材によって構成され、作り手の技とともに現代まで受け継がれ支えられてきた、日本が大事にしたい逸品だ。

きなこねじりと言えば、子どもの頃に一度は口にしたことがあるお菓子でもあろう。きなこ棒という駄菓子があったのを思い出す。味はというと至ってわかりやすく、きな粉そのものの味だ。商品の色や形、包装デザイン含めて煌びやかなスターのようなカッコよさがあるかと言えばそうではない。むしろ地味でおとなしい存在である。子どもの頃に、きなこねじりが15時のおやつに出てきたら、ちょっと恥ずかしい気もするくらいだった。しかし、そんな見た目の地味さや控えめなものにこそ、永きに渡って支持される深い価値があるのも事実だ。もはや駄菓子の域を超えた『新』和菓子とも言えるのではなかろうか。

そんなきなこねじりだが、桜風味のものを見つけて迷わず購入してみた。税込み183円だ。

パッケージは桜の花びらがたくさん描かれているデザインで、色も桜の春色だ。製造者は、北海道第一製菓株式会社。北海道と聞いただけで美味しそうな印象があるのだが、先入観と期待が高まっていく。

裏面を見てみると、「桜餅のような香りが楽しめる、味わい豊かなきなこねじりに仕上げました。」と書いてある。

一見すると硬そうに思えるのだが、実際に食べてみるとそれほど硬くなく、ソフトな食感のきなこねじりだ。きなこねじりも製造メーカーによって大きさ、味、食感、硬さなどさまざまだが、このきなこねじりは柔らかめだ。甘さも控えめでほのかに香る桜葉の塩漬け風味が優しい味わい。春の季節感を出したちょっとしたお茶うけのおもてなしにも良いだろう。今年の春もまた一つ価値ある品に出会うことができた。来年の春もまた新たな出会いに期待して楽しみにしたい。

NORTHMAN

趣味:煎餅(米菓)の食べ比べ 得意なこと:ひとり遊び 愛読書:JAF MATE 好きな食べ物:季節全般のフルーツ

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