ひとくちで春が広がる ~国産桜葉使用『桜せんべい』~
まだ冬の寒さが厳しい2月下旬。3月も目前に差し掛かり、まだかまだかと春を待ち望む声もちらほら聞こえ始める季節だ。冬はなにかと寒さが敬遠されがちだが、その寒さこそに価値を見出せるものだったりする。そういう点では、寂しさも残る季節だ。
この時期には、桜を謳った商品が棚を埋め尽くして、待望の春を演出している。その中に、ひときわ目を引く商品を発見したので、思わず手を伸ばしてみた。ちょっとした高級感を漂わせながらも、和を打ち出した上品なパッケージの商品だ。桜好きには是非見たい衝動に駆られてしまう。1袋60g入りで200円ちょっとの価格帯だった。米菓にしては少し高めの価格設定だろうか。実際に購入してみた。
桜せんべい
まず目を引いたのが、見た目のデザインだ。和紙風の色使いに桜の花びらや葉が描かれており、中央に位置する実写であろうか現物と思われる実物のせんべいの上に「桜せんべい」と書かれた商品名。そして、その右上には金色に白抜き文字の「国産桜葉使用」と掲げられている冠がなんとも風流だ。ピンク色にほどよく配する緑色、そして高級感を演出する金色からは、商品の上品さと自信たっぷりな主張感が全面に押し出されている。やや商品がパッケージ負けしないだろうかと余計な心配さえ思えてくる。続いて、裏面も見てみたい。
裏面にも優しい感じで桜の花びらが描かれている。実物せんべいも2枚ほど載せられており、その上には「ほのかな桜の風味が春の訪れを感じさせる。一口サイズの海老せんべい。」という商品名を補うキャプションが書かれている。商品購入時期は2021年2月下旬であったが、賞味期限の印字を見ると、21.5.6となっている。購入から約2か月ほどだ。春の季節は短いものだが、それに合わせてのことだろうか。一般的なせんべいの賞味期限は90日~180日ほど。揚げ煎餅だと60日~120日、ぬれ煎餅だと15日~60日ほどだ。とすると、この「桜せんべい」が製造されたのは1月~2月上旬くらいではと予測できる。桜の開花は早いと3月中旬から下旬にかけてで、最も遅い北海道だと5月上旬だ。見頃が終わる時期ぎりぎりまでの賞味期限に設定しているところも計算されて製造しているようだ。さて、実物の味はいかがだろうか。さまざまな角度からの観察を経たところで、実際に頂いてみよう。
裏面に記載のあったキャプション通り、一口サイズのせんべいだ。そして、なんとなく桜の花びらをかたどった様な形をしている。ところどころに黒っぽい斑点が見えるのは、桜葉が練り込んであるからであろう。持った感触は軽いのだが、一つ一つがしっかりしている。香りはほのかな桜風味。ひとつ、口にほおばってみた。海老のカルシウム分だろうか、米によるものだろうか、しっかりと歯ごたえのある食べ応えだ。決して固くない食感でいて、後味は軽やかだ。一口、また一口と手が止まらない。やみつきになる味わいだ。「やめられない、とまらない」という某大手メーカーのエビせんべいのキャッチフレーズが頭をよぎる。桜葉が練り込んであるためか、絶妙な塩気が良い。しっかりとした食感も高級感を感じる。せんべい菓子にしては、やや高めの価格帯ではあるものの、その価値は十分にあると感じた。季節を問わず食べたくなるせんべいだ。