心で味わう季節

終わりと始まり

残すところ最後の2枚となった今日は、なんだか新鮮な気持ちにもなってくる。自分だけだろうか。年初めにはずっしりとした重みと厚みがあったカレンダーも、日に日に葉っぱが枯れて落ち葉となっている木々のように、一年の集大成を迎えようとしているが如く、終わりと始まりの季節に向けて様々な準備に取りかかろうとしている。

2020年もあと2か月で終わりだと思うと、相変わらずあっという間だったなという顧みと同時に、やっとこの季節が到来したんだなという心躍る瞬間でもある。ハロウィンも終わり、街はムーディーな青や白のネオンで飾られたツリーや、楽しく温かみを与えてくれるカラフルなクリスマス色に一変する。

朝の空気もいい。ひんやりと乾いた風が起きかけの身体にすーっと浸み込んでくる。秋から冬へ移り変わる唯一この時期にしか味わえない瞬間だ。日が暮れる時間が早くなったなと感じるのもまさにこの時期だろう。太陽が出ている昼の時間が短く夜の時間が長いのも季節の歩みを感じる。

百貨店やデパ地下、スーパーでもクリスマスケーキのカタログやディスプレイが並び始め、おせち料理の予約注文の受け付けも始まっていたりするのもまた一年の終わりに向かっている季節感を実感する。

熟成していく楽しみ

この季節になると毎年準備を始めていることがある。シュトーレンだ。ドイツでは欠かすことの出来ない食べ物で、クリスマスケーキと言えば誰もがこれを指す。家庭でも作られているシュトーレンは、焼き菓子に属するスイーツで日持ちのするハードケーキともいえるだろう。クリスマス1か月前くらいから、薄くスライスしたシュトーレンを少しずつ味が変化していく様子も味わいながら頂くのがドイツスタイル。ラム酒が浸みたドライフルーツやナッツが、小麦粉を焼いた生地に馴染んで次第にしっとり感が出てくる。日が経つに連れて熟成していくのだ。

周りにはたっぷりの粉糖が付いていて、中はしっかりと焼かれた小麦生地に洋酒で漬けたドライフルーツが菌の繁殖を防いでくれ、長期保存が可能な冬の極上デザートだ。さっそくドライフルーツを洋酒に漬け込んで、たっぷりと味が浸み込んだ自分オリジナルの仕上がりを楽しもう。

クリスマスまで、まだ1か月半以上ある。漬け込み時間が長ければ長いほど、コクの強い味わいが期待できる。クリスマス1か月前には焼き上げるとして、2~3週間は漬け込めるだろう。今年のシュトーレンも楽しみだ。

NORTHMAN

趣味:煎餅(米菓)の食べ比べ 得意なこと:ひとり遊び 愛読書:JAF MATE 好きな食べ物:季節全般のフルーツ

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