春に食べたい『旬の食べ物』
春の食の代表格
春と言えば、カツオやホタルイカ、アサリなどの魚介類や、筍(たけのこ)や春キャベツ、アスパラなどといった春に旬を迎える食べ物がたくさん出回ってくる。その中でも特に春の特徴と言えば山菜だ。たらの芽やふきのとうは、春でもごく限られた時期にしか手に入らない貴重な食材だ。
そんな山菜には、ポリフェノールやミネラルが豊富に含まれており、細胞を活性化してくれる効果もある。さらに寒い冬を乗り越えるために溜めこんだ脂肪や老廃物を外へ排出しようと促してくれるパワーをも持っている。季節の移り変わりには、人の体も気付かないうちに変化しているのだ。
これらは春に旬を迎える食べ物である。
・ふきのとう
・アスパラ
・たらの芽
・筍(たけのこ)
・明日葉(あしたば)
・三つ葉
・クレソン
・つくし
・ふき
・こごみ
・うど
・ワラビ
・うるい
・せり
・ぜんまい
ぜひ積極的に旬の恵みを頂いてみてはどうだろうか。
春の味覚 ~春には苦みを盛れ~
甘味、塩味、酸味、苦み、辛み、旨み。これらは人が感じる基本となる味覚。なかでも酸味は腐敗を感じ取る味覚で、苦みは毒性を感じ取る味覚とも言われている。春の食べ物には、この『苦み』を感じる物が多い。もちろん、苦みを含む食べ物すべてが毒を含んでいるという訳ではないが、体に良いものも多くある。人は年齢を重ねて成長するにつれ、味覚も変化している。子どもの頃、ピーマンやコーヒーなど、苦みのある食べ物に苦戦した記憶はないだろうか。苦みを楽しめるようになれば、そのぶん大人になった証でもあるだろう。
『春には苦みを盛れ』という諺(ことわざ)があるように、春には苦みのある食べ物を積極的に食べようという言い伝えがある。
これは、寒い冬の間は体温を逃がさず体を温めておくようにするため、エネルギーに変化しやすい肉をメインにする食事が多く、脂肪も蓄えやすい。そして春になり気温も上昇してくると、今度は冬に溜めこんだ脂肪や老廃物を排出するため、肝臓の働きが活発になってくる。その働きを助けるのが抗酸化力の高いポリフェノールを豊富に含んだ『春の山菜』というわけなのだ。
春野菜に特有の苦みは、『植物性アルカロイド』という成分が含まれていることに由来する。これは、肝臓のろ過機能を向上させ、解毒作用や新陳代謝を促す働きがある。人によっては、食べ過ぎるとお腹をこわしてしまう人もいるようなので、食べる量は沢山を摂取するのではなく、少量を頂く程度にしておくのが良いだろう。
また、体の老廃物を排出するということは、体のだるさも取り除くことにつながる。
クマが冬眠から目覚めて最初に口にするのが、ふきのとうとも言われている。これは、ふきのとうが持つ苦みを体内に取り込むことで、眠っていた体を目覚めさせ体内の機能を活発化させるために、クマが自然と身につけた野生で生活する生物ならではの本能ではないだろうか。
冬から春へ移り変わる気温の変化に疲れを感じたり、春のぽかぽかした陽気に眠気を誘われたことはないだろうか。冬から春へ、春から夏へと気候が変わるにつれて、人の体もスムーズに適応させられるよう生命力を与えてくれるのが春の山菜なのだ。
増える季節の楽しみ方
現代では、ハウス栽培の技術も発達し、一年中どの季節でもある程度の種類の食べ物を手に入れることができるため、季節感が失われつつある。しかし、春には春の、旬の時期には旬の食べ物を頂くのが人間の体に最も必要とされているのではないだろうか。そういった意味でも、季節の食べ物を頂きながら季節を感じ喜び、季節に感謝しながら過ごせると、より春夏秋冬の楽しさを感じられるのではないだろうか。
一年経てばまた同じ季節が巡ってくる。同じ春でも、昨年の春と今年の春とでちょっとした味の違いや雰囲気の違いに気付くことができれば、それもまたより季節の楽しみが増えるのではないだろうか。