秋の恩恵
それはあたかも朝を知らせる今日初めの陽射しを浴びるように、まだ辺りは薄暗い中で何かに目覚めを促される感覚である。
気づくと布団にくるまって体を丸めていた。
朝の冷え込みである。
秋も日一日と深まっていくのを肌で感じ、それと同時に寒さも増して季節が進んでいく歩みに楽しさを感じている。
無心にも一種の興奮だと感じているのかもしれない。いや、もはや感動かもしれない。
夏から秋へ、とくに秋から冬への移ろいは、どんな言葉にも代えがたい趣と一年のうちで最も楽しみにしている時期の一つでもある。
衣替えするように木々の葉が緑から黄色へ変わり、オレンジ色から赤へ変わる。やがて役目を果たすかのように、それは生まれ変わるかのように、潔くさまざまな彩を脱ぎ捨てて茶色へその姿形を変える。近くからみるとそんな細やかな変化にさえ気付くこともできる。
しかしその一つ一つがそれぞれの潔さを全うすることで、遠くから見るとき改めてその美しさに心を奪われる。
紅葉だ。
自然の雄大さを心から実感する瞬間である。
生かされているという恩恵
食欲の秋
紅葉の秋
実りの秋
読書の秋
行楽の秋
スポーツ・運動の秋
芸術の秋
睡眠の秋
ファッションの秋
勉強の秋
四季の移ろいを豊かに感じることができる国、日本。地球儀で探すとほんの小さな島国であるが、海の恵みがあり、山の恵みもあり、そんな日本に生まれて心から感謝を感じている。
秋という季節にこれほどまで楽しむことができる国は日本以外にあるだろうか。
自然の恩恵を大いに享受し、日本各地での文化も発展してきた。
とりわけいち早く季節が巡ってくる場所、そう北海道だ。
地球の地軸が公転面に対して23.43度傾いているからこその現象だ。
多様な楽しみが秋にはあり、多くの実りをもたらしてくれる。
生かされていると感謝する秋でもある。
今、秋を楽しもう
どこかに出かけるもよし。カフェでのんびり過ごすもよし。家で好きなことをするもよし。
楽しみ方はそれぞれである。今年もこの季節の一日一日を大事に、日々の気温の変化や風のにおいや日の出・日没の早さを五感全体を使って感じていきたい。
一年が経てばまた同じ季節がやってくる。でも過去の記憶や思い出という自身の財産は年輪のように年を重ねるごとに太い幹となってやがて大きな心の大黒柱となるだろう。
いま、この「時」を贅沢に生きているということに感謝したいと思う。
年輪が一段と太くなったとき、その「時」を顧みる楽しみが得られると良いなと思う。